主にサークル小麦畑様のゲーム「冠を持つ神の手」の二次創作SS用ブログです。
他にも細かいものを放り込むかもしれません。
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ルージョン友情B後。女分化。
ルージョンは、怒っている。
そんなことは見ずともわかっていた。
ここで暮らして、共に魔術の修練を続けるようになって大分経つ。
老いた魔女はすでに山へと還り、一人になったルージョンをレハトは友として支え続けてきた。
だからこその怒りなのだろう。
「ごめん、でも放ってはおけなくて」
「うるさいね。どうするんだい、そいつを」
寝台に寝ているのは子供だった。身なりのいい服装、まだ十には満たないだろう。
この家に他者を入れるというだけでも大問題だが、それ以上に問題があった。
子供の額には、レハトと同じ徴がある。
「城に帰すよ」
「放っておいても帰っただろうさ」
「わからないよ、だから悪い人に襲われてたんだって」
偶然というよりも、おそらくは何かの導きだったのだろう。レハトは痛む頭を押さえながら振り返った。
薬草を摘みに森を歩いていた時に、ふと見かけた連中。普段なら人は避けるところを、何故かその時は気づかれぬように追って近づいた。
泣きつかれたのか、ぐったりした子供。明らかにかどわかされたとわかる服装と、その徴。
瞬間的に、血も心も沸騰するかと思った。かつて城で、同じ徴を持っていた彼から聞いた事件を思い出したからかもしれない。
魔術を使い、男たちを散らす。すかさず逃げ出した子供(賢い!)を浚うように保護した。
ここまで連れてくるまでに、意識を失ってしまったが、おそらく寝たのだ。というよりも寝かせた、が正しい。
「まったく!」
ルージョンに頭を下げるも、彼女の怒りはなかなかおさまらない。
わかっている。勝手な事をして、互い、いや、自分自身の身を危険に晒したのが悪いのだ。
「一人ですぐ戻してくるから」
「当たり前だよ。その前に、でも少し休むんだね。力を使ったんだろう」
「多少はね」
それでも、とばかりに睨むものだから、レハトはさらに首をすくめてしまう。
ため息がもれ出た。どちらのものとも知れないが。
城から出たところをかどわかされ、行方知らずになっていたはずの寵愛者が城で見つかった。
それは驚きと安堵をもって迎えられた。
少しの衰弱と怪我がある他は、命に別状はない。
王は子供が寝かされた寝台を覗き込んで、ため息をついた。
一体、どうしてこうなったのだろうか。それはわからない、だが少なくとも次の王はこうして戻ってきた。
もし失ったらと思っていたところだったし、似たような経験がある身としては辛い日々ではあった。
子供の目が薄く開いてから、周囲を見回す。知った部屋に知った顔があることに、ほっとしたようだった。
「まだ寝ているんだ、起きたら食事を用意させる」
「うん。………あの、ね」
「……話なら後で」
「んーんー」
どうしても何か言いたいのか、ぐずりだすのに王は仕方なしと喋らせてやることにする。
目だけがきらきらと輝いていた。
「森で、アネキウス様に助けてもらったよ」
「……は、そうか」
「おなじ印があって、不思議な、ちからで。すごかったよ」
「……」
「風が吹いて、わるい人たちがみんな吹き飛ばされて、逃げたら、こっちだよって」
「……そうか」
「こわがらなくていい、って、そうしたら怖くなくなって、目が覚めたら、お城に」
「……運がよかったのだな、お前は、きっと。そのアネキウス様はどんなお顔をしていた?」
「きれいな女の人だったよ」
「だったら、それはアネキウス様じゃあないな。女の人なら」
「……じゃあ、誰だろう」
「誰かはわからないが、お前を助けてくれたのだから、感謝はしないとな」
頭を撫でられて、子供は目を閉じる。王が今までに見たことのないような顔をしているのを見ながらも、今は。
そんなことは見ずともわかっていた。
ここで暮らして、共に魔術の修練を続けるようになって大分経つ。
老いた魔女はすでに山へと還り、一人になったルージョンをレハトは友として支え続けてきた。
だからこその怒りなのだろう。
「ごめん、でも放ってはおけなくて」
「うるさいね。どうするんだい、そいつを」
寝台に寝ているのは子供だった。身なりのいい服装、まだ十には満たないだろう。
この家に他者を入れるというだけでも大問題だが、それ以上に問題があった。
子供の額には、レハトと同じ徴がある。
「城に帰すよ」
「放っておいても帰っただろうさ」
「わからないよ、だから悪い人に襲われてたんだって」
偶然というよりも、おそらくは何かの導きだったのだろう。レハトは痛む頭を押さえながら振り返った。
薬草を摘みに森を歩いていた時に、ふと見かけた連中。普段なら人は避けるところを、何故かその時は気づかれぬように追って近づいた。
泣きつかれたのか、ぐったりした子供。明らかにかどわかされたとわかる服装と、その徴。
瞬間的に、血も心も沸騰するかと思った。かつて城で、同じ徴を持っていた彼から聞いた事件を思い出したからかもしれない。
魔術を使い、男たちを散らす。すかさず逃げ出した子供(賢い!)を浚うように保護した。
ここまで連れてくるまでに、意識を失ってしまったが、おそらく寝たのだ。というよりも寝かせた、が正しい。
「まったく!」
ルージョンに頭を下げるも、彼女の怒りはなかなかおさまらない。
わかっている。勝手な事をして、互い、いや、自分自身の身を危険に晒したのが悪いのだ。
「一人ですぐ戻してくるから」
「当たり前だよ。その前に、でも少し休むんだね。力を使ったんだろう」
「多少はね」
それでも、とばかりに睨むものだから、レハトはさらに首をすくめてしまう。
ため息がもれ出た。どちらのものとも知れないが。
城から出たところをかどわかされ、行方知らずになっていたはずの寵愛者が城で見つかった。
それは驚きと安堵をもって迎えられた。
少しの衰弱と怪我がある他は、命に別状はない。
王は子供が寝かされた寝台を覗き込んで、ため息をついた。
一体、どうしてこうなったのだろうか。それはわからない、だが少なくとも次の王はこうして戻ってきた。
もし失ったらと思っていたところだったし、似たような経験がある身としては辛い日々ではあった。
子供の目が薄く開いてから、周囲を見回す。知った部屋に知った顔があることに、ほっとしたようだった。
「まだ寝ているんだ、起きたら食事を用意させる」
「うん。………あの、ね」
「……話なら後で」
「んーんー」
どうしても何か言いたいのか、ぐずりだすのに王は仕方なしと喋らせてやることにする。
目だけがきらきらと輝いていた。
「森で、アネキウス様に助けてもらったよ」
「……は、そうか」
「おなじ印があって、不思議な、ちからで。すごかったよ」
「……」
「風が吹いて、わるい人たちがみんな吹き飛ばされて、逃げたら、こっちだよって」
「……そうか」
「こわがらなくていい、って、そうしたら怖くなくなって、目が覚めたら、お城に」
「……運がよかったのだな、お前は、きっと。そのアネキウス様はどんなお顔をしていた?」
「きれいな女の人だったよ」
「だったら、それはアネキウス様じゃあないな。女の人なら」
「……じゃあ、誰だろう」
「誰かはわからないが、お前を助けてくれたのだから、感謝はしないとな」
頭を撫でられて、子供は目を閉じる。王が今までに見たことのないような顔をしているのを見ながらも、今は。
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