「へえ、本当にここのこと嫌いじゃないんだ」
「うん。歩いてても石とか飛んでこないし」
「……石？」
「石。時々鹿糞」
「え、どういうこと」
「俺嫌われてたし？」
「ええええ」
「まあやり返してやってたから自業自得だけど」
「うわーレハトつえー、逆境につえー」
「むしろ燃える？　みたいな？　辛くされればされるほどかきたてられる闘争本能？」
「……だからわざわざタナッセのところ行くんだ。なんでかと思ってた」
「うん。嫌がらせに嫌がらせで返してやるのって最高だよね」
「じゃあもし、俺が嫌がらせしたら？」
「全力でお相手させてイタダキマス」
「容赦なさそうなんだけど、こわいんだけど」
「数多くの嫌がらせの果てに玉座を簒奪して、その後ボコボコにしたうえで監禁するくらいするね」
「さらっと言う事じゃないと思うんだけど」
「そして監禁したからには」
「ちょ、ちょっと何をするつもり？」
「毎日、おかずは豆だ！」
「うわー！」
「しかもずるずる服のみ！」
「うわああああ！　オニ！　アクマ！　ヒトデナシ！」
「兎鹿の頭にタンポポを載せるだけの仕事をさせてやる！」
「……なー、それって監禁なのかなあ」
「うん。監禁だよ？」
「もっとおどろおどろしい事しないのかよー、えっちなこととか」
「えー、ヴァイルって監禁イコールえっちってひとー？」
「ちげー！　それはちげー！」
「まあ、そんなことにはならないと思うけどね」
「だよなー」

[24回]