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主にサークル小麦畑様のゲーム「冠を持つ神の手」の二次創作SS用ブログです。 他にも細かいものを放り込むかもしれません。
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ローニカとレハト
『親しい夢』


やめてください、と言ったところでやめる様子はなかった。
中庭にある大きな木に手をかけ足をかけて、ひょいひょい、とまだ子供の体が登っていく。

「レハト様」
「よい、っしょっと。ローニカも登っておいでよ」
「爺めはそこまで登れませんよ」

太い枝に腰掛けて安定を取れば、手を振って平気な顔で誘ってきた。
首を横に振ってみせてから、ローニカは下から見上げながらも笑ってしまう。
夢を見たのだ、とこの間言ったばかりだ。
そう、夢だった。かつていた場所で、大きな木に登らされた幼い頃の夢。
実際のところは遊びではなく訓練だったのだろうが、ローニカは誰よりも一番、それが上手かった。
その時に隣にいたのは、今まさに木に登って自分を呼んでいる、今の主だった。
いや、今の姿――成人前の姿ではなく、もっと幼い頃に見えたが。

「得意だったって言ったじゃないか」
「昔のお話でございますよ」
「なんだ」

少しだけつまらなさそうに言うものの、レハトもそれが無体な誘いだとわかっている。
この賢い子供は、無邪気に楽しそうに振る舞いながらも、本当のところは色々と了解済みなのだ。
それでもやりたいからやる。ローニカが一緒になって登ってくれないことはわかっている、だが、木に登る姿を見せた上で誘いたい。それで断られてもいい、のだろう。
どういった生活が、この子供に無邪気さと稚気、賢さと大人びた面の両方をはぐくんだかはわからない。
否、リリアノやヴァイルを見る限りにおいては、それは御印を持つ者の性なのか。

「まあいいや、僕も結構うまいでしょ、木登り」
「達者でございますね。でも、髪や服が汚れますよ」
「ええー、そこは落ちたら危ないとか言ってよ」
「今のを見る限りでは、落ちることなどないほど慣れているようでしたので」

そう、まさにその登り方は堂にいったものだった。よほど驚く事とかがない限りは、落ちることはないだろう。
足をぶらぶらさせてから、レハトは木の枝を見上げた。

「……木登りが好きだったんだ、誰かと一緒にはやってなかったけど」
「そうでございますか」
「遠くが見えるし、結構静かだし、虫や鳥がいたりして」
「お一人で遊ぶことが多かったのでございますね」
「うん、まあね。だから夢の中でも、ローニカと一緒に遊べた僕がうらやましいな」

そんな事言っても仕方ないけど、と付け足してからレハトは木にぶらさがる。
当然のことのようにローニカは手を伸ばして、自分がその姿勢をとったことを確かめてから落ちてくるレハトを受け止めた。すぐに地面に下ろそうとすると、腕をつかまれる。

「レハト様」
「少しくらいはいいでしょ」

一緒に登ってやることが出来ない分、そのくらいはいいだろうか。幸い周りに人もいない。
受け止めた、半端に抱きあげた格好のままでそのまましばらく過ごした。
夢の中で彼は幼馴染の友のようだったが、彼からすればその話を聞いても、もう老人であるローニカの子供の頃など想像もできなかったに違いない。
ならばいかに捉えたかと思えば、それは父と子や、祖父と孫というもっと現実的な想像だったのかもしれず。

そう思えば、珍しく甘えてくる子供を放り出すような真似は出来るはずもなかった。

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