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主にサークル小麦畑様のゲーム「冠を持つ神の手」の二次創作SS用ブログです。 他にも細かいものを放り込むかもしれません。
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タナッセ愛情B後

ある日のことだ。
行くつもりがあまりなかったものの夫が出られない以上付き合いから出ることに決めた宴の席で、名も知らぬ地方貴族の若い女性らに囲まれ、やけに輝いた目で夫を愛しているかと聞かれた。
別段隠すようなことでもないので肯いておいたのだが、何かそれがまずかったらしい。
いや、普通に考えれば別段まずいことでもなんでもなく、むしろそこで否定するほうがまずかろうと思うのだが。
とにかく、夫にとってはたいそうまずかったようだ。


タナッセは頭を抱えながら、目の前にいる妻を見つめた。
彼女に非がないのはわかっているのだが、頭を抱えざるをえないのである。

「どうしてそこで正直に答える」
「答えない理由がないから」
「まったくお前は、どうして相手がそんなことを聞いてきたかと少しでも考えなかったのか? ちらとでも?」
「いや全然。普段はああいう席には出ない方だし、若い女の子ってそういうの好きだからとしか」

そうだ。妻に非はない。あるとすれば暇をもてあましている下種どものほうにだ。
普段、地方貴族や地主たちのいる宴にレハトは出ないことの方が多い。そもそもがそういう席は好きではないらしいというのは、既にわかっていることでもある。城での舞踏会も引っ張り出さなければ行く気はなかったようだし。
無理無理ひったてたらそれなりにうまくこなすのはわかっているのだが。
自分が留守をしている時は静かに本を読んだり、のんびり編み物をしたりしながらすごすことの多いレハトは、多分孤独に耐えられる人間なのだろう。
しばらく連絡をよこさずに城に彼女を残しっぱなしにしていた時も、取り乱すことはなく落ち着いたもので、なんでタナッセなんかを信じて待てるのかわからないと従兄弟のユリリエをあきれさせたものだ。
それはレハト生来の気質からというより、自分への信頼ゆえだと思ってもいるが。
タナッセはまた頭を抱えた。

「お前が私を好いているのは、そういう類の薬を盛ったからだと噂されている」
「……」

レハトの目がそれた。

「さぞかし良く効く薬だろう、ということだ。城での騒動を耳に挟んだ連中がいるらしい。まったく、馬鹿な話……
とも、いいきれん、か」
「まあ、ある意味そういうものかな」
「おい、ここは否定しくれなければ困るぞ」
「薬を盛られたのは確かだし」

しれっと言って、レハトは自分の前にあったカップを持ち上げる。温かい茶を飲んで唇をしめらせてから、タナッセの視線に気づいて口元をゆるめた。

「タナッセ」
「なんだ、今更恨み言でも言い出すんではないだろうな。私としてはだな……」
「いや、言ったことなかったかもしれないなって思って、実は」

あの時にはすでに

打ち明けた瞬間に目に見えてわかるほど、タナッセは狼狽する。まさか本当に気づかれていなかったらしいとレハトはため息をついた。こちらの態度が変わったことにはうすうす感づいていたようだったのだが。

「な、お前、そんないつから」
「いつからでしょう」
「馬鹿を言うな、お前が私に、あれ以前にだと? いや確かに、妙な感じは、したが」
「でもなきゃあの状況で馬鹿正直に出されたもの飲まないよ」

どう考えてもあやしかった。あんな事今までなかったのだから。出されたものをすぐに口に入れないようにこれでも結構気をつけてきたのだ。嫌がらせにキツイ酒を勧められたことだってあったし。
ただ、あの時はすんなりと飲むことができた。
何か仕掛けられているとしても、それでいいと思った。
まさかああなるとは思わなかったけれど。
タナッセとしては、まさか藪をつついてこんな蛇が出るとは思わなかった。
何時からだというのだろう。まさか、詩人の正体がばれてしまった時だろうか、それとも、父の元へ向かったその時か? レハトのこちらを見る目に、棘棘しいもの以外のものを感じ取れるようになったのは?
あの宿題をやってきた時だったか、それとも。

思い当たりを探して黙り込むタナッセに、レハトは茶を勧める。
彼が自分からアタリを引くまで、教えてやる気はさらさらなかった。

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