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主にサークル小麦畑様のゲーム「冠を持つ神の手」の二次創作SS用ブログです。 他にも細かいものを放り込むかもしれません。
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ヴァイル憎悪A+トッズ友情
レハト女分化

BGM:くるおしい心/Breath of Fire V -Dragon Quater- O.S.T

ヴァイルが消えた。
自ら挑んだ玉座を巡る戦いに敗れ、その後ごねてごねて、ランテの所領に向かう途中だった。
その報を聞いたのはまだまだ篭りのさなかではあったが、レハトは口元をゆがめることもなくリリアノから聞き、ため息まじりのその顔に浮かぶ複雑な苦悩を見て取る。
だがそれだけだった、探させましょう、とは言った。血縁としてのリリアノの心情を汲み、ランテの所領を宙に浮かさぬために、とすらすらともっともらしい言葉を零しながら。
リリアノのことだ、レハトがそれ以外の意図も含ませていることなど、百も承知だろうに。
指摘することはなかった。


篭りは明けて、王としての日々は濁流が押し寄せるがごとくどっと舞い込む様々な事柄で溢れていて、息をつく暇もそうそうない。
それでも夜ともなれば静かな日もあり、レハトはついに堂々解禁となった果実酒の瓶をあける。

「その酒の産地はなんと、新王陛下の故郷にほど近いんですよ。おかげで今やちょっとした話題の品なんで、手に入れるのはすごーく苦労しちゃったんですが」
「気を遣わなくていいのにね」

注ぎ込む杯はなめらかな卵のような白い陶器で、対の二つが満たされた。
片方を、傍らにいてへらへらとした笑いを浮かべている「御用商人」へとレハトは渡す。
受け取った商人、トッズは一礼をしてから先にそれに口をつけた。

「まあまあってところかな、もっと美味いのも城の酒蔵にはたんまりあるんでしょ?」
「仕入れてもらった品を運んできてもらう、でもなきゃね、堂々と会えない」
「そりゃそーだ」
「まあ、別にこそこそしてもいいけど、もういくらでもこそこそできるし」
「いいじゃないですか、建前は大事ですよ、へ・い・か」

レハトもまた杯に口をつけてから、ゆっくりと椅子にもたれかかった。トッズは立ったままだが、別に気にする様子はお互いにない。

「それで、どう?」
「まあだいたいの洗い出しは終わりましたよ、怪しいのはもうほとんど絞り込めましたってところで。あとはもう黒い鳥の群れの中に白い鳥を見つけるよーなもんだ。トッズ様にかかれば、新王陛下の無茶な注文だって迅速に解決ってなもので」
「なるほど、まだ居場所自体はわからないと」
「……まーよく察しがついたね、でも後は時間の問題、これは本当」
「うん、それは信用する」

紅は引いていないにしても、女を選んだからか、レハトの唇は妙に赤い。トッズはそれが笑いの形に歪むのを見て肩をすくめた。

「しかし、正規の人らも探してるってのに、なんでわざわざ俺に頼むかね」
「わからないはずがないけどね。トッズなら」
「まーね。あの坊ちゃんが居なくなったのは、御本人だけの力とは思えない」
「そう。まあヴァイル自身の意思がどれだけ働いてるかはわからないけど、いくらでも利用価値があるんだ。僕……いや、私が玉座に就くのを歓迎している人ばかりではない」
「そんな連中からすれば、あの坊ちゃんは絶好の神輿だしねー、まあそれだけじゃなくて、私情の極みって線もあるだろうけど」
「たとえば?」
「わかってるくせに、惚れたのはれたのってあれよ、あれ。あっ、レハト様には無縁なお話だから、気づかなかったりした?」
「トッズじゃなかったら、不敬罪で今すぐ丸刈りにしてるとこだよ」

はい、と空にした杯を差し出してくるレハトに、トッズは酒をついでやる。
少しだけ拗ねたような唇はポーズだ。実際、この新しい王になった寵愛者に、色恋にうつつをぬかす心があるとは思えない。他人のそれを察する力はありあまるだろうが、逆に自分が溺れることはなさそうだ。
果たして人間の心、なんていうものがあるのかどうかすら。
いや、友情はあるのだろう。おそらくは。

「もしそうだとして、ヴァイルが生きて再び表舞台に立つ可能性は?」
「五分ってとこじゃないですかね」
「そんなものか。じゃあ、”そう”だった場合はうまく手を回して八分くらいにあげてよ」
「おやー、何? レハト陛下は負けた寵愛者様をどうしちゃいたいわけ?」
「捕まえて引っ立てたり、ランテの領主をぬくぬくとさせるわけじゃない、そんなのはつまらないから。もっとヴァイルには、ちゃんとしてもらわないと」
「ちゃんとねえ、戦争でも起こそうっての、こわいこわい」
「ふふ」

まさか、とばかりに肩を動かすも、レハトは否定も肯定もそれ以上しない。ただ、杯がまた空になる。
トッズは酒を注がずに、己のそれを飲んだ。
――ただ、この程度じゃ物足りないだけだよ、そう呟いてレハトは笑う。
御用商人としては、想像以上に強欲らしい主の気まぐれがどこまで続くやらと、口元をゆがめるばかりだった。
 

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