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主にサークル小麦畑様のゲーム「冠を持つ神の手」の二次創作SS用ブログです。 他にも細かいものを放り込むかもしれません。
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ルージョン愛情A後。
自給自足。


森の中での暮らしをはじめてみたが、案外レハトの性に合っていたらしい。
城暮らしの前は、世界の端っこみたいな村で生きてきたらしいから、それもそうか。
分化の儀式の後にいきなり伸びた背と、男らしくなった顔つきにため息が出た。
小さくてかわいかった未分化の子供はどこに消えてしまったんだろう。
多分もう瞼の裏にしかいない。昔の彼の知り合いが見ても、それと解らないかもしれない。

「それで、お前は何をしてるんだい」
「巣箱作り」

木の板でなにやら箱を作っている様子に声をかければ、あっさりとそんな事を言われた。
巣箱? と、見慣れぬ形の箱を見る。
ああ、とレハトは少し間を置いて理解を得るまでの時間をとってから、箱に開いた穴を指差す。

「蜜蜂をこれで飼う」
「なんだ、養蜂のことか」
「うん。村では結構やってたんだ、周りに花が多かったから」

黄色い花で一面に覆われ、穏やかな風が吹く場所だったとレハトは故郷を語る。
二度と戻れないとわかった上で、懐かしみながら、気負う事もなく。ルージョンにとってそれはうらやましくも恨めしい事だ。徴なんぞがなければ、そこで成長して適当に幸せになっただろうに。
何をどうして、彼はこんなところにいるのか。

「うまくいけば、蜂蜜が手に入るようになって、ルージョンの好きなお菓子が作れるんだけど」
「なっ、ば、……そんなこと気にしないでいいんだよ」

いやです気にします。とばかりにレハトはまた巣箱をいそいそと作り始める。
こんなところ、にいる彼は酷く楽しそうに、ここで魔術の訓練の傍らそうした事を続ける。
女王蜂に仕える働き蜂もかくやとばかりに。


野生の蜜蜂から蜜をいただくくらい、ちょっと魔術や薬を使えばわけもないということは、ルージョンは黙っておくことにした。

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