主にサークル小麦畑様のゲーム「冠を持つ神の手」の二次創作SS用ブログです。
他にも細かいものを放り込むかもしれません。
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サニャ愛情A後
ぽっと出どころではない田舎者が王になり、王配も同じく田舎者となれば貴族どもが騒然としないわけがなかった。
王とは血筋とは関係なく選出されるものであり、それはわかってはいる。
だが玉座とその隣はまったく、貴族の縁者とは遠い二人で占められてしまったのだ。
まったくもっておもしろいわけがない。
「ふー」
サニャが息を吐いて、テーブルにつっぷすのを、そんな感じだからレハトも諌めることはない。
「お疲れ様」
「もう、貴族なんて大ッキライっ! なんであんなに厭味が流れるように出てくるんです?」
「多分、厭味の修行があるんだよ。子供の頃に」
「もうもう信じられない、サニャはもう駄目ですレハト様」
「お疲れ様」
頭をぽんぽんと撫でてあげると、サニャは少しだけそれでも機嫌をよくしたようだった。
サニャの性格からして、厭味を言われるたびにおなかがきりきりするのだろう。
だが、最近は大分やり返せるようになってきているらしい。もともとそういった傾向の萌芽はあったが、王配となり、周囲の圧力に絞られるうちに覚醒しつつあるのだろう。
ぶちりと切れてしまわないように、二人きりの時間や、サニャにとっても付き合いやすい人といる時間はちゃんと設けるようにしてはいるが、そのうちそんな気遣いも無用になりそうだ。
「サニャ」
「……」
「サニャの焼いたケーキが食べたい、すぐりと干しぶどうの入ったやつ」
「レハト」
おねだりをすると、顔がぱっとあがる。濃い化粧をあまり好まないサニャの肌には、まだ雀斑が見えていてレハトの心を明るくさせる。
そのままにこっと、飾り気のない顔で笑った。
「はいっ! 明日にでも厨房を使わせてもらいますね」
「やった。他にもいろいろ食べよう、お茶にしようよ」
前に、ローニカとも一緒にお茶会をやった。そのときはすごく楽しかった。
周りが敵ばかりのように感じていたレハトにとって、二人といる時だけは安らげたものだ。
サニャは特に自分も色々言われて大変だったろうに、故郷の父親のこともあっただろうに。
それでも自分のことを考えてくれていた。弟のように、思ったのだろうか。
そこのあたりはまだ詳しく突っ込んで聞いたことはなかった、色々しおれてしまう事実がありそうだからだ。
「レハトは王様になったのに、あまり贅沢とかしないね」
「税金だからね。ケーキをたまに食べるくらいで十分だよ」
「……なんで王様になろうってしたの? 最初の頃はならないって言ってたのに」
「んー」
答えを待つサニャの目を見て、それからふっと反らした。
サニャが色々言われていたのは知っていた、それでも、貴族らしくなるとサニャが遠くなる気がした。
そもそも玉座なんかほしくなくて、ヴァイルがそこに座るのを見るだけのつもりだった。
でも、サニャの村は色々と厳しくて、自分の村だって色々と大変で。
「サニャのため、かな」
結局はつきつめるとそこになってしまうのだ。
真っ赤になったサニャは、ふぇ、とか、あう、とか声にならない声を出して俯く。
抱き寄せるためにはテーブルが邪魔で、だからただ目だけで見つめていたら彼女のほうがテーブルに手をついて、距離を縮めてくる。
熱くなった顔が触れ合った。
王とは血筋とは関係なく選出されるものであり、それはわかってはいる。
だが玉座とその隣はまったく、貴族の縁者とは遠い二人で占められてしまったのだ。
まったくもっておもしろいわけがない。
「ふー」
サニャが息を吐いて、テーブルにつっぷすのを、そんな感じだからレハトも諌めることはない。
「お疲れ様」
「もう、貴族なんて大ッキライっ! なんであんなに厭味が流れるように出てくるんです?」
「多分、厭味の修行があるんだよ。子供の頃に」
「もうもう信じられない、サニャはもう駄目ですレハト様」
「お疲れ様」
頭をぽんぽんと撫でてあげると、サニャは少しだけそれでも機嫌をよくしたようだった。
サニャの性格からして、厭味を言われるたびにおなかがきりきりするのだろう。
だが、最近は大分やり返せるようになってきているらしい。もともとそういった傾向の萌芽はあったが、王配となり、周囲の圧力に絞られるうちに覚醒しつつあるのだろう。
ぶちりと切れてしまわないように、二人きりの時間や、サニャにとっても付き合いやすい人といる時間はちゃんと設けるようにしてはいるが、そのうちそんな気遣いも無用になりそうだ。
「サニャ」
「……」
「サニャの焼いたケーキが食べたい、すぐりと干しぶどうの入ったやつ」
「レハト」
おねだりをすると、顔がぱっとあがる。濃い化粧をあまり好まないサニャの肌には、まだ雀斑が見えていてレハトの心を明るくさせる。
そのままにこっと、飾り気のない顔で笑った。
「はいっ! 明日にでも厨房を使わせてもらいますね」
「やった。他にもいろいろ食べよう、お茶にしようよ」
前に、ローニカとも一緒にお茶会をやった。そのときはすごく楽しかった。
周りが敵ばかりのように感じていたレハトにとって、二人といる時だけは安らげたものだ。
サニャは特に自分も色々言われて大変だったろうに、故郷の父親のこともあっただろうに。
それでも自分のことを考えてくれていた。弟のように、思ったのだろうか。
そこのあたりはまだ詳しく突っ込んで聞いたことはなかった、色々しおれてしまう事実がありそうだからだ。
「レハトは王様になったのに、あまり贅沢とかしないね」
「税金だからね。ケーキをたまに食べるくらいで十分だよ」
「……なんで王様になろうってしたの? 最初の頃はならないって言ってたのに」
「んー」
答えを待つサニャの目を見て、それからふっと反らした。
サニャが色々言われていたのは知っていた、それでも、貴族らしくなるとサニャが遠くなる気がした。
そもそも玉座なんかほしくなくて、ヴァイルがそこに座るのを見るだけのつもりだった。
でも、サニャの村は色々と厳しくて、自分の村だって色々と大変で。
「サニャのため、かな」
結局はつきつめるとそこになってしまうのだ。
真っ赤になったサニャは、ふぇ、とか、あう、とか声にならない声を出して俯く。
抱き寄せるためにはテーブルが邪魔で、だからただ目だけで見つめていたら彼女のほうがテーブルに手をついて、距離を縮めてくる。
熱くなった顔が触れ合った。
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